LIFE PROBE

セルフライナーノーツ

01. メイ

本当にこの世界で孤独だったら、「俺」という存在はどこにもなかった。どれだけ自分から発信したって、受け取ってくれる人が居なければ誰の心にも存在しない事になると思ったから。自分という存在を認めてくれるのは、いつでも自分以外の誰かなんだ。だからこの曲は命の証、俺を俺としてこの世界に置いてくれた皆、その証の唄。改めて一人は一人でしかないんだと気付いた。その「一人であれる」って事がとても誇らしかった。貴方にしか見えない俺がいる。君にしか見えない俺がいる。逆も然り。全部正しくて、全部間違い。正しさは自分の中にしかない。その「正しさ」をフルに活用したかった。失くした事も、忘れた事も、怒った事も情けなかった事も、その全てを通ってきた先の今だから「全部必要だったでしょう?」って言いたい。そういう自分でいたい。

歌詞を書いているとき、本当に数学みたいだった。この歌詞を完成させるには膨大な情報と題材が必要だったから。「何ひとつ失ってない」と言い切るために。それが今の、確かな自分だと言い切るために。その色んな題材と、そこに置いた言葉が互いに支え合ってひとつの唄にできました。だから聴くたびに聴こえ方は変わるかも。

02. 林檎の理

アインシュタインが「相対性理論」を提示した時に古い考え方になったらしいのだけど、この曲はアイザック・ニュートンの「万有引力の法則」が大きなテーマでした。その中の「全ての物質は引き寄せ合っている」という言葉。それだけで歌詞書くには十分でした。初めて自分が唄う曲の先に、聴いてくれる人がいるんだと意識して書いた曲だった。この世の現象と自分の普段の思考を結びつけるのは楽しいね。わくわくするよね。俺だけか。まぁ、書いていてとても楽しかった。ちなみに読み方は「リンゴノコトワリ」です。”理”というのは「物事の正しい道」や「宇宙の本体」という意味だそうです。この曲は鳴った瞬間、無条件に気持ちが上がる。無重力に放り出される感じ。重力に逆らえないとか唄ってるのに。笑

03. Grieveman

今作で最古の曲になります。19歳の頃。10代は、20代に突入した瞬間に遠い昔になった気がしたけど、それでもまだ3年前か。ぽんっと書けたのを覚えています。何かと心が忙しかった時期だった。全てと戦っていた。勝つと思っていた。「何に?」、「さぁ。けど勝つよ」の繰り返し。世界かな。生活に潰されまいともがいていた気がする。そういう時期だったから書けた弱いけど強い唄。タイトルは「嘆く人」という意味。

余談だけど、初めて曲を持っていった時メンバーは本当に嫌そうだった。聴こえる想像の50倍は難しいから。でもことあるごとにこの曲を推した。実はメジャー1stの選曲会議で1度はじかれた曲。レコーディングが進むにつれ、スタッフ陣含めて「あれ、この曲超かっこよくね?」とか言いだして、「ほれ見ろ」と心の底で本気のガッツポーズした。

04. reverie

これはもう自分の夢の話しかできない。気付いたら何もない暗い部屋の中でしゃがみ込んでいて、瞬きすると部屋が大きくなる、壁も天井も見えなくなるぐらい遠くになると、頭上からどでかい鉄球みたいなのが落ちてきて、それに追い回され続けるという謎の夢。これを物心ついた頃ぐらいから不定期にずっと見る。できれば見たくない。しかもこうやって記憶にはあるのに、その夢に落ちる時は決まって初めて見る感覚なのだ。一向にその夢に記憶を持っていけない。学べない。対処の仕方がわからない。起きて「またか」としか思えない。なんか腹立つ。こういうことを曲にする気はなかったのに、これに関しては気付いたら曲になっていた。が故にタイトル付けようにもどうにも現実味がなくて、「本当にこの夢見たのか?夢だったのか?」と四苦八苦した末にこのタイトルになった。ちなみにその”reverie”は「白昼夢」、つまり「非現実的な空想」を意味します。

05. ボイド

“void”、「虚空」という意味です。自宅近くの公園、そこにあるブランコを漕いで、ぼんやり空を眺めていた。その晴れ渡った空がとても虚しく見えた夏の日に書いた。自分がとてもちっぽけに思えた日だった。空の向こうには何もないんじゃないか、という気持ちと、自分の心の底で目を伏せてきた何もない空洞がたまたま結びついただけ。そこに何があったか知っていた。今はない。そして二度と塞がる事はない。いつかまた同じ物を手に入れたとしても、それは違う自分が手に入れるんだ。空洞を知った後の自分が手に入れるんだ。その空洞が埋まるのとは違う。綺麗な石に付けた傷が、決して消えないのと一緒。僕らはそれを見えないようにするしかない。気を散らしていくしかない。でもそれが何にも換えられない自分だった。レコーディングを終えた日も、それはそれは晴れ渡った空だった。

ラブソングだと思っていたけど、リリースしてから、色んな人の感想を貰って、改めて自分で見つめ直して歌っていたら枠を越えてった。色んな状況に当てはまる。リズム隊がすげぇ格好いいよね。俺も負けてないけど。

06. 王様のひとり芝居

子供というのは誰しも間違えると思うけど、この子はとびきり間違えてきたっぽい。見栄張るよね。自慢したいよね。認められたいよね。格好良くいたいよね。わかるよ。けど思っているよりは誰も見てないよ、君の事。みんな自分の事で手一杯だもんね。とかなんとか、完全に脳裏に曲の情景が浮かんでいた。王様は庶民がいないと王様にはなれない。何かの上に立つ特別な存在。この子は気取ってるだけだった。空想の中で庶民を作って、実際はたった一人という。一人きりって何にでもなれるけど何にもなれないよね。誰とも争わずに済むから取り合う事もないけど、認める人が居ないからそもそもそこに意味がない。レコーディング作業の合間、ほぼ書きかけていた歌詞を全部書き直して完成した曲。スタジオ近くの橋の下で完成した。本当にこの子にはひやひやさせられた。

07. into the dark

表と裏でひとつ。この曲は一人の内側と外側の話。内側を押し殺して、良い顔だけ他人に見せていれば良いとしていたけど、本心を隠したままにできるほど上手ではない一人の話。自分自身でも見付ける事がないように扉を閉じたけど、本当の自分を知ってもらいたくて仕方がない。見付かりたくないけど見付かりたい。うわぁ見付かってしまいそう、あぁでも見付けてください、いややっぱ今のなし。と超面倒くさい唄。「暗闇の中へ」、というよりは「秘密にする」という事。

08. イツカの日記

「いつか」は過去と未来のどちらにも言える。不思議。この曲はわざわざここで書かずとも、そのまんまだから曲についてはいいや。自由に聴いてください。ちなみにある日の昼下がり、車の中で休憩していた俺と大喜はこの曲を最後まで聴けなかった。寝落ちしたから。俺に関しては、横になった状態でこの曲を聴くとギターソロまで辿り着けない。寝ちゃうから。更に言っておくと「マスタリング」というレコーディングの最終行程の作業中、健仁は口を開いて爆睡していた。仕事中だよ。
まぁそのぐらいは眠りに誘うのが上手な曲のようです。そこはメンバーで体現している。たぶん寝れる。たぶんね。

09. multiverse

“multiverse”は「多元宇宙論」という意味。同じ時間軸の上に別の世界が存在している、所謂「パラレルワールド」という事。元々はライヴ中に、「みんなと歌いたい」という気持ちがきっかけで書いた。みんなと歌うにも、またその理由が欲しくなってしまうという面倒な思考回路でできているので、こうなりました。「自分が選び抜いた道が ”正しい” と豪語する為のメロディーを皆で歌おうじゃないか」と。

一切押し付ける気はないです。「よかったら一緒にどうですか?」です。自分が曲を書く上で、いつも最高のおまけとして歌詞を書いているのが変に作用しただけ。でも自分としては、発想の転換で面白かった。皆で歌う為のメロディーを作るんじゃなくて、皆で歌う理由を書こうと思ったのが。この先他にも皆で歌える曲ができるかもしれないけど、そうやって皆で歌いたい時はそういう意味を込めてしまうかもしれません。なんとなく付き合ってくれると嬉しいです。もうライヴでもやってるけど、皆良い顔してるんだよ。書いてよかった。書けてよかった。ライヴの中で、皆とでやり取りできたから書けたんです。ありがとう。

10. ワンダーランド

色んな「ワンダーランド」というタイトルの曲があると思いますが、僕らの「ワンダーランド」は1番現実的だと思う。もうそもそも今生きているこの世界がワンダーランドでしょうよ、という曲だから。一寸先はいつも知らない。他人の心の世界はいつも知らない。わからない。もう不思議。黙っていても立ち止まる事ができないなら、ワクワクしながら飛び込もうぜ。馬鹿になろうぜ。という曲。現にサウンドもだいぶ馬鹿になってる。勢い勝負。せーので録音した。ギターが「俺ギターっす!」と言わんばかりに主張してきやがるのが、呆れる程楽しい。

余談だけど歌入れの当日に歌詞が書き上がって、そのせいで当初決まっていたメロディーが全部変わった。歌詞も勢い勝負だった。いや、反省した。スタッフの皆、ごめん。今後はこういう事ないようにします。でもこういう事もあるんだなぁと思った。結果的に「これです!」って全員が頷いたからまぁいいか。最初っからこのアルバムの最後の曲だと決まってた。